9月は8月と並んで台風が多い月です。台風が近づいてくると頭や関節が痛む経験をした人も多いのではないでしょうか。これには、気圧の変化が関係しているらしいのです。
体の外と中の力のバランスが乱れる
気象条件が引き金になって発症したり、発症しやすくなる病気を総称して「気象病」といいます。特に今の時期によくみられるのが頭痛や関節痛、古傷の痛みなどが悪化する「天気痛」です。
温度や湿度などの気象の変化の中でも、天気痛を引き起こしやすいのが気圧の低下です。気圧といえば空気の重さのこと。「えっ、空気に重さがあるの?」と思われるかもしれませんが、空気1L当り平均約1.3gの重さがあります。
私たちの体には外から気圧という大きな力がかかっています。実際、成人男性でおおよそ16t、女性でも14tもの力がかかっているといわれます。このような強い力がかかっても人間の体がつぶれないのは、体の内側から同じくらいの力で押し返しているからです。
台風や発達中の低気圧が通過する場合、短時間で気圧が大きく変化するため、体の外と中の力のバランスが崩れ、内側から押す力が強まります。その結果、神経などが押されて痛みが生じたり、増強しやすくなると考えられています。
痛みと天気を記録しよう
頭痛や関節痛などがある人は、自分がどういうタイミングで痛くなるかを知ることが大切です。それには、痛みが強まったときをその日の天気とともに記録することがすすめられます。日本頭痛学会のホームページからダウンロードできる「頭痛ダイアリー」などを利用してもよいでしょう(http://www.jhsnet.org/dr_medical_diary.html)。
天気予報をチェックして、台風や低気圧が近づいているときは、気圧が急激に変化すると思われるので、予定を早めに切り上げるなどの対応が望まれます。また、日ごろから、首のストレッチをして首や耳周りの血流をよくしておくことも予防に役立つといわれます。規則正しい生活をする、十分な睡眠をとるなど、自律神経の乱れを整えることも大切です。
気温の変化にも気をつけて
今の時期、暑い日がぶり返したかと思ったら、朝夕急に涼しくなったりと、気温の変化が大きいことも天気痛に影響します。涼しくなることが予想される場合には、カーディガンなどの羽織りものやスカーフなどを用意しておきましょう。
天気痛だけでなく、季節の変わり目は体調が崩れやすくなります。バランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけましょう。なお、痛みに限らず健康について気になるときは、薬剤師に気軽にご相談ください。
~classA 薬局の健康情報紙 ライフ 2018年9月号より